命短き、花初恋。
「…ゴホッゴホッ…」
洗面台が真っ赤な血で染まった。
苦しい。
でも、舞音くんを心配させたくなかった。
どうせ助からないから。
だったら、最後までやれることをしたい。
舞音くんの為にも、
自分の為にも。
「行かなくっちゃ…」
私は口を水でゆすいで、ポケットから薬を
取り出して飲む。
薬は痛み止めだけど、
気休めにはなるから。
私はトイレを出た。
そして、舞音くんの元へ向かった。
腕時計をみると、もうサイン会は終わって
いる時間だった。
私はステージではなく、楽屋の方へ方向転
換した。