命短き、花初恋。
僕達は病室に戻った。








「舞音、さん。」








「あ…」








桜のお母さんだった。








「少し、2人でお話しませんか?」








「…わかりました。」








「じゃあ、場所を移しましょう。」








そう言って来たのは、病院の談話室だった。








「…あなたの話、聞いてたのよ。実際に会っ








てみたら、とっても男前なのね。羨ましい








わ。」








「いえ…」








「…ありがとうね…桜と出会ってくれて…」








「こちらこそ、ですよ。」








「…まだ、お若いのよね。桜が死んだら…また








新しい女性を見つけていいからね…」








「…それは、出来そうにありません。」








「…」








「僕は、何があっても…僕が死ぬまで、彼女








を愛します。」








「…ありがとう…ありがとうね…」








そう言って、桜のお母さんは涙を零す。








「それじゃあ…私からのお願いなんだけど…」








「…なんですか?」








「しばらく、桜と一緒にいて欲しいの…きっ








と最期に一緒にいて欲しいのは、私じゃな








くて、あなただと思うの。」








「…わかりました。」
< 83 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop