不器用なコイビト。
小さな作戦
夕方の5時、私は隆介のアルバイト先に顔を出した。
「よっ!!!隆介」
「おー知香」
バイト終わりの隆介を迎えに来たのだ。
「お疲れ。ハイ、ジュース」
「サンキュー」
ジュースを私から受け取った隆介は、プシュッと飲み口を開けると、ゆっくりと口に当てた。
私はそれを横目で見ながらゆっくりと息を吸う。
大丈夫。
隆介なら、ちゃんと断ってくれる。
「ねぇ、隆介」
「ん?」
私に呼ばれて、ジュースから口を離す隆介。
視線を隆介の顔に移し、私はゆっくりと口を開く。