不器用なコイビト。

…そっか。



それが隆介の答えー…。





「隆介、もういいよ」

「へ?」





まだ状況が掴めてない様子の隆介に、私は振り絞った笑顔で笑った。





「じゃあ、行って来る」





そう言って、涙を抑えながら私はその場を後にした。





「知香?」






隆介の声も届かないくらいー…。









息切れで、立ち止まった私の耳に着信音が届く。




「隆介?」




小さな期待を胸に、ケータイを開く。




だけど期待を裏切られ、発信者は隆介ではなかった。






< 6 / 49 >

この作品をシェア

pagetop