かたまり
静かに立ち去ることも、かといって中へ入っていく勇気のない私はただそこに突っ立っていた。

やがて行為を終えた陵ちゃんが私に気がついて、

「あ、あれ、みっちゃん帰ってたの?」

と気まずそうに聞いてくる。
 
なんていえばいいかわからなくてただ陵ちゃんを見つめていたら、

「あれ?彼女さん帰っきたの?
悪いけど陵の相手してあげて。明日あたし仕事あるし。」

と悪びれた様子もなく着替えて出て行った。

いや、待ってあんた誰?!

そんなこと聞く間もなくバタンと扉が閉まる音がして、我にかえった私は

「とりあえず説明して。」

と、自分でもびっくりする位冷たい声で言っていた。

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