旅
ツキ「そんな事が…」
巻き物「あぁ。ヨルさんには感謝しているよ。本当にやってくれるんだから。」
ツキ「ヨルが約束を破るなんてしませんよ。」
一瞬、人とヨルを同じ様に見えている事に腹が立った。
ヨル「ふー…気持ちよかった…」
ヨルがタオルで髪を拭きながら、部屋に入ってきた。
浴衣に着替えていた。
巻き物「ヨルさんは女性でしたか…私はてっきり男性かと…」
ヨル「ん?私は人間ではないのだから、どちらでもないぞ?」
巻き物「あ…申し訳ありません…」
ヨル「気にするな。」
可笑しそうに笑うヨル。
心からホッとした。
ヨル「次の客が来たな。」
ヨルがガラス戸を見つめた。
ゆっくりと開かれる。
入って来たのは男性だった。
ヨル「ようこそ。言葉屋へ。」
ヨルの声が響いた。