旅
女は理解できなかった。
そんな女の様子を見て、ヨルがため息をつく。
そして面倒くさそうに説明を始める。
ヨル「で?何が知りたい?」
女「えっと…ここはどこですか?」
ヨル「私の家兼、言葉屋。」
女「言葉屋?何ですかそれは?」
ヨル「人間の言葉には大きな影響力がある。その言葉の力で、望みを叶えている。」
女「は?」
漫画の読みすぎだとツッコミたくなる発言に女は呆然とした。
ヨル「理解しなくて良い。冬夜の夢とでも思っとけ。馬鹿。」
説明が面倒くさくてなげる。
女「なっ!!ちょっと失礼じゃありませんか!?」
ヨル「きたんだから早く選んでけ。」
ヨルの態度に腹を立てた女をツキがなだめる。
ツキ「僕から説明しますから!落ち着いて下さい。」
女「落ち着けるわけないでしょ!?もう帰るわ!!」
女が立ち上がり、部屋を出ようとする。すると、ヨルが忠告した。
ヨル「出ない方が良い。家に帰れなくなるからな。」
女「え?」
ヨルが小窓を指す。
ヨル「浜辺が見えるだろ?」
女「え…あ!」
小窓には浜辺が見える。
女がいた場所には浜辺はないのだろう。
女はとても驚いていた。
ヨル「今度はこっちの障子を見てみろ。」
ヨルは自分の後ろの障子を開ける。
そこには、沢山の人々が行き交う街中が見えた。
ヨル「とても曖昧な場所にここはある。下手に出ると、全然知らない場所や国に出てしまう。」
女「あ…」
ヨル「選ばないと帰れないぞ?」
どうやらここが、可笑しな場所である事を女は理解せざるを得なかった。