旅
ヨル「お前が持っている言葉の中から、願いに見合った言葉を貰う。」
ヨルはショールを肩にかけ直しながら、ゆっくりと元の場所に座る。
女「言葉を失ったらどうなるんですか?」
ヨル「言葉によるが…例えば見合った言葉が健康だったら、健康を失う。」
女「え…」
ツキ「ある人は足を、またある人はこれから起こる厄災を、またある人は老いを…どんな言葉かは、あなたがどんな言葉を選ぶかで決まります。」
女「どんな言葉かは教えてくれるんですか?受け取る前に。」
ヨル「勿論。当たり前だろ。」
ツキ「では…あなたは言葉を選ぶという事ですね?」
ヨルが皮肉を込めて言う。
ヨル「よく信じる気になったな。」
女「いえ、信じてません。夢と思う事にしました。選ばないと覚めないんでしょ?この夢!!」
ヨル「………まぁいい、夢の中だからって、投げやりにはなるなよ。どうなるかは知らんぞ。」
ヨルは巻き物を開く。
ヨル「ではどんな言葉だ?」
女「言葉…」
女性の顔が不安げに曇っていく。