ヨル「お前が持っている言葉の中から、願いに見合った言葉を貰う。」

ヨルはショールを肩にかけ直しながら、ゆっくりと元の場所に座る。

女「言葉を失ったらどうなるんですか?」

ヨル「言葉によるが…例えば見合った言葉が健康だったら、健康を失う。」

女「え…」

ツキ「ある人は足を、またある人はこれから起こる厄災を、またある人は老いを…どんな言葉かは、あなたがどんな言葉を選ぶかで決まります。」

女「どんな言葉かは教えてくれるんですか?受け取る前に。」

ヨル「勿論。当たり前だろ。」

ツキ「では…あなたは言葉を選ぶという事ですね?」

ヨルが皮肉を込めて言う。

ヨル「よく信じる気になったな。」

女「いえ、信じてません。夢と思う事にしました。選ばないと覚めないんでしょ?この夢!!」

ヨル「………まぁいい、夢の中だからって、投げやりにはなるなよ。どうなるかは知らんぞ。」

ヨルは巻き物を開く。

ヨル「ではどんな言葉だ?」

女「言葉…」

女性の顔が不安げに曇っていく。
< 7 / 17 >

この作品をシェア

pagetop