相当な夢と思う事にした女は、口調も砕け、ヨルとツキに言う。

「どうせなら年上のイケメンとかが、出迎えてくれれば良かったのに…」

ヨル「年上じゃなくて悪かったな。」

ツキ「ごめんなさい…年齢はどうしようもありません…」

女「二人共、どうしてイケメンは否定しないのかな?」

ヨル「で?欲しい言葉は?」

さらっと流される。

女「いきなり言われても…何が欲しい言葉って…」

ツキ「では、あなたの望みは?」

ヨル「望み?」

ツキ「ヨルがあなたの望みに沿った言葉を見繕ってくれますよ。話してみてください。」

ツキは空になった湯のみに、お茶を淹れる。

女「願いか…愚痴ならありますけど…」

ヨル「愚痴?聞いてやるよ。」

ヨルは眠そうに言った。
その態度に少々苛立ちながらも、女は愚痴をこぼし出す。

女「最近、仕事が思う通りにいかないの…定時に終わらないから残業だし、上司や先輩には、冷たい顔されるし…」

ヨル「それだけか?」

女「彼氏とも上手くいってないの…最近よく喧嘩しちゃって、お互い引きどころがわからないって言うか…あとはね、」

ヨル「もう良い。」

女は話の腰を折られ、眉間にシワがよる。

ヨル「で?どうしたい?」

ぬるくなったお茶をすすりながら、気持ちを抑え、話を進める。

女「どうって…それを見繕ってくれるんじゃないんですか?」

ヨルは、はぁ…と溜息をつきながら、面倒くさそうに質問してくる。

ヨル「仕事でどうなりたい?」

女「…思い通りに進められる様になりたいかな…」

ヨル「上司や先輩にはどう思われたい?」

女「んーと…仕事の出来る一人前って、思われたいです。」

ヨル「彼氏とは?」

女「仕事とも両立しつつ、大切にしたい。」

ヨル「つまり、お前は仕事や恋愛を上手くやっていきたいって事か?」

女「そうです!」

ヨル「じゃあ…『熟す』はどう?」

女「こなす?」

ヨル「上手く処理する、上手く扱うそんな意味が含まれている。お前の望みに沿った言葉だと思うけど?」

女は考え込んだ。
確かに上手く熟ればと思う事はあった。
だが、容量の悪い自分では不可能だろうと、どこかで諦めていた女にとってまたとない機会であると考えた。

女「それが良いです!」
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