兎は寂しくても死なない



木宮真緒は私を抱いたがそこにきっとあったのは寂しさだけで、あのサラサラしている黒い髪も、整った顔も優しい腕も、意地悪な笑顔でさえまーくんの好きなその女の子のものだと思った。私は所詮埋め合わせに過ぎない。だけどそれでいいと思うし私も結局は寂しさの埋め合わせで、お互い様で、彼を責めることなんてできない。「また寂しくなったら会いに来てもいい?」そんな薄っぺらくて汚らわしい台詞を最後に、木宮真緒に深く口付けた。木宮は静かに頷いて私達はまたゆっくりと目を閉じる。手を繋いで、近くに寄り添い寝ている私達は側から見たらどう映るんだろう。そんな事を考えながら私は意識を手放した。
(まーくんみたいな人に愛されたら、どんな風になるんだろう)


「“藤堂 類(トウドウ ルイ)”、おやすみ」

まーくんが優しくキスをしてくれたような気がした。


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