兎は寂しくても死なない




別に何か悲しいことがあったわけでもないし嫌なことがあったわけでもない。だけどなんの前触れもなく不機嫌になったり不安になったり誰に宛てたわけでもない汚い言葉を吐き出したくなったりすることがある。つまり簡単に言えばそれは情緒不安定というやつで、そしてその不安定さを動機に私は人を巻き込み傷つけるクズで、そしてそれを辞められない弱者である。
いったい何がしたいんだか、なんて他人事の様についこの間の木宮真緒との事を思い出す。今更、罪悪感を抱いても遅いというのに。あれから特にお互い話す事もなく学校でもただのクラスメイトとして生活をしていた。しかし今日は違かった。家路につこうと下駄箱に向かっていた時に「類、ちょっと」だなんて木宮に呼び止められた。なに?と木宮の顔を見れば「なんだよその態度」だなんて呆れた様な顔をされたがすぐに彼は頬を緩ませながら私に言い放った。

「今日の夜、会える?」



< 7 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop