この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



「その幸せを、失いたくないなって」

「っ……」


――ドキンッ、ドキンッ。


あぁ、私……気づいてしまった。

棗くんを見つめて心臓が騒がしくなったり、抱きしめられるとホッとする理由……。


そして、私も棗くんと同じように……。

「私も……」

「ん?美羽……?」

「棗くんがいない生活に戻るのは……」


……もう無理だってこと。

こんな気持ちになるのは、私が棗くんのことを……。


「美羽、俺と帰ろうか」

「……はい……」


差し出される手に、私は自然と手を重ねる。

見つめ合えば、返ってくる微笑み。

全てが愛おしいと思う、この感情は……『恋』だということに。

月の綺麗な、星の煌めく晩。


漆黒の髪を靡かせる、どこまでも優しいこの人へ、私は生まれて初めての恋をした。



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