この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。
***
秋本総合病院に到着すると、すぐに点滴が開始された。
それは、モルヒネと言われる、私でも聞いたことがある麻薬の名前だった。
「……どういうこと……?」
モルヒネが投与されてから眠ってしまった棗くんを見つめたまま、バクバクと鳴る心臓をおさえて呟く。
今までが怒涛の出来事で、私はまだ頭が整理出来ていなかった。
何も考えられず、病室で立ち尽くしていると、
――ガラガラガラッ!!
「棗お兄ちゃん!!」
そこへ、赤いリボンをつけた黒髪おさげの女の子が飛び込んできた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん!!」
泣きながら棗くんの体を揺すっているのは、見た目、小学4年生くらいの女の子だった。
「杏、止めなさい」
「お母さん……だって、棗お兄ちゃんがっ」
その後に病室に入ってきたのは、茶髪のショートボブで、40代くらいの女性。
もしかして、妹さんとお母さん……??
二人と棗くんを呆然と見つめていると、女性が私に視線を向ける。