この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



「あなたもしかして……美羽さん?」

「え……あ、はい」


どうして、私の名前を知ってるの……?


「やっぱり……あなたのことは、棗から聞いているわ」


ニッコリと、あの棗くんにそっくりの笑顔を私に向ける。


「は、はい……あの、棗くんのお母さんですか?」


「えぇ、私は須々木 清美(すすき きよみ)、棗の母です。それで、こっちは妹の杏です」


お母さんと妹さんなんだ……。

私が慌てて頭を下げると、お母さんが肩をポンッと叩いた。


「棗の……最期に傍にいたい人ね」


「え、最期……あの、どういう意味ですか?私、棗くんが突然倒れた理由も、何も知らなくて……」


「そう、棗はまだ話していないのね……。いずれ、知ることになるって分かっていたでしょうに……」


動揺していると、お母さんは悲しげに私を見つめる。


――ドクンッ。


これから何を知ることになるのか、心臓が嫌な音を立てて早鐘を打ち始めた。


「お兄ちゃんは、膵臓の癌なんだって」

「え……」


お母さんの服の袖を掴みながら、杏ちゃんがぽつりと呟く。

それに、頭が真っ白になった。


癌……癌って、棗くんが??

今まであんなに元気そうに笑ってたのに……。


でも、時々、苦しんでいるのを見かけたし、日に日に痩せていってるような……そんな気はしてた。

まさか、それが……癌のせいだったなんて。



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