この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



「棗は、6か月前、今年の1月に膵臓がんって言われてね。化学療法……いわゆる抗がん剤治療もしたの」


「そんな……そんなに悪い状態だったなんて……」


だって、抗がん剤って、髪が抜けたり、吐き気が強かったり……。

それだけで体力が削られるってテレビで見たことがある。


カタカタと震える手をギュッと握りしめた。

すると、追い討ちをかけるようにお母さんは言葉を続ける。


「でもね、強い薬だから副作用も強い。あげく、化学療法を続けていても、効果がなくて……薬に耐性がついた棗は……」


話しているお母さんの方が辛そうだった。

それに、私はこれ以上知る事が怖くなる。

この先に、どんな真実があるの……怖い、怖いよ……。


「……っ、抗がん剤も効かなくなってしまったの」

「じゃあ……棗くんは……」


どうなってしまうの?

だって、大丈夫だよね?

いなくなったり……しないよね?


たくさんの不安が頭の中を駆け巡った。



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