この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。


「……抗がん剤が効けば一年……効果が弱ければ一年未満だって、言われてる」

それって、まさか……。


「余命が……余命が、一年ってことですか……?」


嘘だよ……お願いだから、違うって言って。

驚かせるための冗談だって……お願いっ。

声が震えて、言葉に詰まる。

そんな私を見て、お母さんは静かに頷いた。


「……棗はがそう言われたのは、高校2年の冬よ。今はもう……残り6ヶ月くらいしか、棗に残された時間はないの……」


「そんなっ……」


ガラガラと何かが崩れ落ちていく音がする。

それは、幸せから絶望へと転落していくような、そんな感覚だった。


***


「んん……」


棗くんが目を覚ましたのは、8時間後、夕方になった頃だった。

夕日が棗くんの顔を照らして出来た影が、余計に『死』の影を感じさせる。


「……美羽……?」

「…………」


私は、棗くんの顔を見つめたまま、何も言えずにいた。


お母さんと杏ちゃんは今、棗くんの入院の準備をするために荷物を取りに行っている。


私は、棗くんのベッドサイドの椅子に座って付き添っていたのだ。



< 149 / 223 >

この作品をシェア

pagetop