この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。
「……抗がん剤が効けば一年……効果が弱ければ一年未満だって、言われてる」
それって、まさか……。
「余命が……余命が、一年ってことですか……?」
嘘だよ……お願いだから、違うって言って。
驚かせるための冗談だって……お願いっ。
声が震えて、言葉に詰まる。
そんな私を見て、お母さんは静かに頷いた。
「……棗はがそう言われたのは、高校2年の冬よ。今はもう……残り6ヶ月くらいしか、棗に残された時間はないの……」
「そんなっ……」
ガラガラと何かが崩れ落ちていく音がする。
それは、幸せから絶望へと転落していくような、そんな感覚だった。
***
「んん……」
棗くんが目を覚ましたのは、8時間後、夕方になった頃だった。
夕日が棗くんの顔を照らして出来た影が、余計に『死』の影を感じさせる。
「……美羽……?」
「…………」
私は、棗くんの顔を見つめたまま、何も言えずにいた。
お母さんと杏ちゃんは今、棗くんの入院の準備をするために荷物を取りに行っている。
私は、棗くんのベッドサイドの椅子に座って付き添っていたのだ。