この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。
「美羽……」
急に黙り込んだ私を、心配そうに見つめる棗くん。
いけない、棗くんが気にしちゃう。
もっとしっかりしないと……。
「棗くん、どこか行きたい所ってない?」
「行きたい所……うーん、美羽がいるならどこでもいいんだけどな。じゃあ、図書館で勉強でもする?」
「ええっ!」
こんな時に勉強って……。
そう思ってすぐに考え直す。
棗くんが病気じゃなかったら、これが普通の生活だよね。
もしかして、棗くんは最期まで普通に生活することを望んでるのかもしれない。
だとしたら……。
「私、数学が苦手なんです。棗くん、教えてくれる?」
「うん、美羽のためなら喜んで」
「うん、ありがとう……」
棗くんとの終わりより、今の時間を大切にしなきゃ。
そう自分に言い聞かせた私は、この手の温もりがずっと消えませんようにと、繋いだ手に力を込めた。