この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



「美羽さんは、単刀直入に聞かないと、本心を隠してしまうみたいだ」

「……えっと……」


その通りかもしれない。

だけど、だからってこんなこと……知られるのが怖い。

私を、可哀想な子だと思うのかな、先輩も。

その瞬間から、私はみんなより劣っている、価値のない存在になってしまうように思えて怖いんだ。


「本当は……色んな怖い思いをしたんだね」


でも、先輩の手も、声も優しい。

この人の瞳は、私をまっすぐに見つめてくれてる。

なんとなく、ただ不思議と……この人を信じられると思った。


「あ……ごめんなさい、本当は、お父さんの暴力から逃げる為でも……あったんです」

「……そうか、痛かっただろう、辛かったね」


そう言って、先輩はハンカチを取り出すと、私の右手に器用に巻いてくれた。


< 19 / 223 >

この作品をシェア

pagetop