この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。
「美羽お姉ちゃん、一緒にいて」
「杏ちゃん……うん」
その小さな手を握り返せば、緊張の面持ちだった杏ちゃんの表情も安心したようにほぐれる。
「それじゃあ、行こうか」
お父さんの一言で、私たちはお医者さんの元へと向かった。
***
応接室と書かれた場所に、私達は案内された。
そこには、医師や看護師の姿がある。
「ご本人様も、望んでいたように、これからの治療というよりは、緩和を主体にした関わりになっていくと思われます」
「はい……あの、息子はあとどれくらい……」
切り出したお父さんの言葉に、みんなが息を飲んだ。
聞くのが怖い、だけど……。
知らなければ、後悔する気がしたから……。
「腹水に、血が混じっていました。癌の破裂が原因でしょう。今は薬で眠っていますが、恐らく、2、3日で……」
――ドクンッ。
……え?
先生は、今なんて言ったの?
2、3日……嘘でしょう、そんなすぐに棗くんが……いなくなっちゃうなんて……。