この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



「そんなっ……あなたっ……」

「清美……くっ……どうして、うちの息子なんだっ……」


お母さんとお父さんが涙を流している。

そんな両親を見て、杏ちゃんもなにかを悟ったのか、ブワッと大粒の涙を流した。


「お兄ちゃんっ……いなくなっちゃうっ……ううっ」

「杏ちゃん……そんな、棗くん……」


どんなに覚悟をしていたつもりでも、耐えられない。

こんな痛みに、耐えられるはずが無いよ……っ。


「モルヒネの点滴で、痛みを取り除くことが出来ます。ただし、副作用は強いので、眠ることも多くなるでしょう」


ただでさえ過ごす時間が少ないのに、眠ることが多いだなんて……。

どうすればいいの、辛いけど、私たちのために痛みに耐えてほしい?

それとも、棗くんが楽になれるようにしてあげるべきなのか……。


「本人の意思を尊重しつつ対応していきます。皆さんも、心づもりはしていて下さい」


ここで、お医者さんの話は終わった。

私たちの心に、暗い影を残して。


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