この空の彼方にいるきみへ、永遠の恋を捧ぐ。



「美羽、こっちおいで。そこに立ってると疲れちゃうよ」

「あ、はい……」


ゆっくりと棗くんに近づくと、ポンポンとソファーを叩く。

これは、隣に座れってことだよね。


それに素直に従うと、棗くんは準備していたのか、ドライヤーを手に私の髪を撫でた。


「棗くん……?」

「ほら、前向いて」


前向いてって、棗くん何して……。

――ゴォォォォッ。

ドライヤーの風が私の髪に当たって初めて、棗くんが私の髪を乾かそうとしていることに気づく。


「ええっ!?じ、自分で乾かせます!!」

「いいから、俺にやらせて?」


振り返ると、笑顔で私の髪を乾かす棗くん。

学校の先輩、それも王子様に髪を乾かしてもらってるなんて……やっぱり恐れ多いっ!!


ガチガチに固まっていると、後ろで「クスッ」と棗くんが笑ったのが分かった。



< 37 / 223 >

この作品をシェア

pagetop