Love Birthday‥~約束~



プリンが食べ終わる頃、霧島先生が病室に現れた。


「おはよう。熱が下がったみたいだね」


「おはようございます」



俺の脈をとったり、顔色などを見ながら霧島先生が言った。


「今日から検査とリハビリを開始しよう。
少しでも早くリハビリすることが大切だからな」


笑顔で俺を見る霧島先生を、この時初めてまともに見た気がする。

実習初日は緊張してて覚えてないし、この前は頭が真っ白で霧島先生の顔なんてあまり見ていなかった。


霧島先生は、30代後半くらいの背が高くてほどよく筋肉がついている体格。

よく見ると霧島先生の目は、高校三年の時に担任だった及川先生に似ていた。



「落ち込んでいる暇はないぞ。
今日からリハビリ、リハビリ!」


俺の肩をポンっと叩いて、霧島先生は病室から出て行った。



たしかに霧島先生の言うとおりだ。

落ち込んでいる時間があったら、少しでも体を動かした方がいい。


理学療法の勉強をしてきた俺は、そんなことはわかってる。


だけど、今の俺はそんな前向きな考えにはなれなかった。



まだ、この現実を受け入れたくない。





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