Love Birthday‥~約束~
「これは志則が決めることです。
大学の方にはご迷惑をかけることを十分に承知のうえでお願いします。
志則のこれからの人生を、志則自身に決めさせてやって下さい」
頭を下げている親父に驚いた。
俺が言おうとしたことを、親父が言ってくれた。
それに、謝罪の言葉を付け加えて……。
一気に腹の中の苛立ちが消え、親父の姿と思いだけが俺の目に映った。
どうしてあんなにイラついたんだろう……。
佐々木先生は教員として当たり前のことをしてただけなのに。
知らず知らず、俺は歪んだ目で佐々木先生を見ていた。
自分のことしか見ていなかった。
「お願いします。もう少し待って下さい」
親父の隣で頭を下げて言った俺に、佐々木先生が短い間の後口を開いた。
「わかりました。
吉田君の気持ちが固まるまで私達は待ちます。
決まったら連絡ください」
佐々木先生は、深々と頭を下げて病室を出て行った。