Love Birthday‥~約束~



「飛行機の時間があるから……そろそろ行くな?
何かあったらいつでも連絡するんだぞ」


「うん。
……父さん、ありがとう」



親父は、微笑みながら手を振り病室を出て行った。



今まで親父に面と向って礼なんて言ったことがなかった。


育ててくれていることに感謝する気持ちなんて、そういえば今まで感じてなかったのかもしれない。




俺、初めて親父の有難みを感じたよ。

心の底から感じた。



ありがとう、父さん。





あれ? おかしい……。

どうして涙腺が緩んでくるんだ?


俺の目には、今にも溢れそうな涙が浮かんでいた。




なんだよ……これ……。

この歳で親離れできないのかよ。


バカだな、俺……。




親父がいなくなった病室が、やけに寂しく思えた。







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