Love Birthday‥~約束~


愛実の名前を見ただけで、俺の鼓動は高鳴った。



『市ノ瀬 愛実』



俺がたくさん泣かせた人。


俺が何度も抱いた人。


俺が会いたい人。



俺の好きな人――。





別れの言葉を頭に浮かべただけで、涙腺が緩み喉が熱くなった。


「や……だよ……。
離れたくない……。離したくないよ……」



携帯画面が歪んで見えて、俺は必死に泣くのを堪えた。


終わりにしないと、きっと愛実は俺との約束を信じていつまでも俺を待ち続ける。

あいつは俺なんかより、真っ直ぐな奴だから……。



俺は目を閉じ、発信ボタンを押した。






< 143 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop