Love Birthday‥~約束~


「本当に申し訳ありません。
許して頂けることではないと承知しています……けれど、私には謝ることしか出来なくて……」




震えている声に虫唾が走った。



この人のせいで俺は脊髄を損傷したんだ。


この人のせいで俺の全てが変わったんだ。


この人のせいで……。





体中に怒りが込み上げ、握り締めた拳の中で爪が皮膚を突き刺していた。



「どうして子供から目を離したんですか……」



自分の声とは思えない低い声――


その声に泣きながら三浦さんが答えた。



「あの時、夫の癌を告知された直後だったんです……。
頭の中が真っ白になってて……気づいたら咲の姿がなくて……そしたら……」



声にならなくなった三浦さんは、口に手を当てがくりと膝を床に落とした。


その姿を見て、俺は何も言えなくなった。



家族が癌になった時の悲しみを

俺は知っているから……。





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