Love Birthday‥~約束~
医者から母さんが癌だと告知された夜、親父は一人で泣いていた。
俺が寝るのをずっと待っていたかのように、声を押し殺して台所の片隅で泣いてたんだ。
俺は、あの時の親父の姿を忘れられない。
しばらくの沈黙の後、俺は三浦さんに声をかけた。
「咲ちゃんは……?」
「はい……。吉田さんのおかげで助かりました……」
その言葉を聞いて、俺の怒りは少し薄らいだ。
俺が怪我をしたおかげで助かった人がいるんだ……。
小さな咲ちゃんの未来を、救うことが出来たんだ……。
「よかった」
自然とその言葉がでてきた。
俺がこうなったことにも意味があるんだ……
そう思えたから。