Love Birthday‥~約束~
「そういえば、緒方科長が年が明ける前に川上陸君が転院するって言ってたよ」
「え……転院?」
「お父さんの仕事の都合で急に北海道に行くことになったんだって。
吉田君の実家も北海道だよね?」
「うん。向こうは雪が多いから大変だろうな」
俺の胸の中で、情けない思いが顔を出した。
これから陸君と顔を合わせずにすむ。
嘘をついた後ろめたさを感じずにすむって。
本当、俺って最低。
男としても、理学療法士としても……。
俯いた俺に中嶋先生が声をかけた。
「どうしたの?」
「ん? なんでもないよ」
心配そうに俺の顔を見ている中嶋先生に、微笑みかけた。
だけど、真っ直ぐに中嶋先生のことを見れない。
全てを見透かされそうで
中嶋先生を傷つけてしまいそうで
俺は目を逸らした。