Love Birthday‥~約束~
「ごめん、陸君」
このまま別れることなんて出来ない。
そう思った時、俺は言葉を発していた。
俺に謝られた陸君は、首を傾げて「えっ、何?」って言った。
「俺さ、陸君に嘘ついたんだ。
本当は俺には怪我をした姿を見せたくない人がいる。
それって、自分を恥ずかしく思ってるからだと思うんだ。
本当に、ごめん……」
やっと陸君の瞳を見て話せた。
けれど、俺の言葉で陸君が傷ついたかもしれない。
自信を失くしたかもしれない。
せっかくこれから友達に会うのに……。
俺の心配を吹き飛ばすかのように、陸君が大きな声で言った。
「バカだなー、先生。
そんなふうに思ってるの?
先生、全然恥ずかしくなんかないよ。かっこいいよ。
僕だって先生に負けないくらいかっこいいよ?」
満面な笑顔で話す陸君に、俺は驚かされた。
「僕、リハビリしてる時の先生好きだよ。
そう思ったら、僕今の自分を好きになれた。
頑張るってすごいよね。
弱い人には真似できないよね?」
「う‥‥うん」
「だから僕、クラスのみんなに自慢するんだ。
リハビリってすごい辛いんだぞって。
僕、いつか吉田先生みたいなリハビリの先生になるんだぞって」
そんな……
そんなふうに俺を見ていてくれたのか?
卑怯者の俺を……。