Love Birthday‥~約束~
「中嶋先生、吉田君のような後輩がいると頼もしいですね」
「ええ、そうですね」
視線を河相さんから中嶋先生に移すと、
中嶋先生はさっきとは別人のような顔をしていた。
理学療法士としての凛々しい顔。
その姿に、俺の視線は尊敬の眼差しへと変わった。
「今日はどうかなさったんですか?」
中嶋先生の質問に、河相さんが椅子に腰を掛けながら答えた。
「今日は孫の体調が悪くなって、娘と一緒に連れてきたんですよ。
時間外で申し訳なかったんですが、娘がどうしても病院に連れて行きたいと言うもんで……。
今診察を受けているところです」
「孫って、毎年クリスマスに遊びに来るって言ってたお孫さんですか?」
「そうです、そうです。
中学生の男の子で、最近は娘と口喧嘩をよくするようになったらしいです」
困った顔で話しながらも、河相さんの声は嬉しそうだった。
「孫が先天性の脳の病で入院生活が長かったせいか、娘は過保護気味でして……。
去年のクリスマスは風邪をひいてこっちに来れなかったので、春休みに来たんです」
河相さんが話し終わると、診察室の扉が開いた。