Love Birthday‥~約束~


「緒方先生はまだ居ますか?
せっかくなので会って行きたいんですが……」

「スタッフルームにまだ居ますよ。案内しますね」


中嶋先生と河相さんは、俺と視線を重ねてからスタッフルームへと向かった。

あの視線は、俺に河相さんの孫を見てろってことだよな?



残された少年は、無愛想な顔で俺を見上げた。


おいおい、どうして睨んでんだよ……。

俺は椅子に座り、思いとは裏腹に笑顔で少年に声をかけた。


「名前なんていうの?」

「翔太」

「翔太君か……」



やばい。

会話が続かない。

けどこのまま翔太君を一人にするわけにいかないよな……。



「どこか調子が悪くなったの?」


「別に……。ちょっと咳込んだだけなのに、お母さんが無理やり連れて来たんだ。
本当はもっと違うことで悩んでるのに……」



「俺でよかったら話聞こうか?」


断られると思った。

だけど、声を掛けずにはいられなかった。


俯いた翔太君の瞳は、不安を抱え込んでいるように見えたから。






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