Love Birthday‥~約束~


「愛実は絵を見るのも描くのも好き。
ノートに下手くそな絵を落書きしてたことがあった。
それに、愛実は左利き!!」


これでどうだ!! って思いながら力強く言った。

すると翔太君は、笑顔で「当たり!」って言い、愛実のことを教えてくれた。



翔太君が愛実と出会ったのは、

愛実が高校生の時で、その時翔太君は病院に入院していた。


いつものようにリハビリをするためにリハビリ室に行くと、そこに愛実が居たんだって。


一緒に絵を描いて、愛実の下手くそな絵に大笑いしたって楽しそうに話してくれた。

そして、愛実は翔太君にとって初恋の人であることも。

だから怪しいと思った俺に、愛実のことを教えるわけにはいかないって思ったんだって。


やっぱり翔太君てかわいいな。

愛実に恋をしたなんて俺と同じじゃないか。



俺が喜んでいると、翔太君はスケッチブックを一枚破り、そこに病院の名前を書いた。


「この病院、俺が通ってるところなんだ。
愛実ちゃん、来月からそこのリハビリの先生になるよ」



何度も病院名を心の中で読み返した。


ここに行けば愛実に会える。

ここに行けば愛実に会えるんだ。


嬉しくてたまらなかった。



愛実の居場所がわかったことはもちろんだけど、

それ以上に嬉しかったのは

愛実が作業療法士になっていたこと。



一緒に叶えようと約束した夢を

叶えていたこと。







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