Love Birthday‥~約束~
彼をタクシーに乗せた後、私は携帯電話を握り締めた。
金曜日じゃない今日は会えないってわかってるのに、
どうしても緒方科長に会いたくて電話をかけた。
一度かけてもつながらず、もう一度かけてみる。
お願い、でて。
私を助けて……。
『もしもし……』
泣き出してしまいそうな私の耳に、緒方科長の声が触れた。
『あの、突然ごめんなさい。これから会えない?』
『無理だよ』
『どうしても…だめ?』
『明日、明日になれば二人で会えるだろ?
悪いけど切るぞ』
悲しい電話の音が、私の胸に鳴り響いた。
明日じゃないよ
私が会いたいのは今なんだよぉ……。
切ない想いが、涙となって溢れだした。
冷たい秋の夜風が、その涙の熱さを胸の奥まで感じさせた。