Love Birthday‥~約束~
「いった~い」
ベンチに座ったというより落ちた俺の体の上に、愛実が乗っかっていた。
「ちょっと~!! 私ってそんなに重い!?」
愛実は涙の跡が残る頬を桃色に染めて、恥ずかしさを隠すように強い口調で言った。
「あのさ、答える前に……この状態やばくない?」
俺の言葉に愛実が顔を上げて、俺と視線がぶつかった途端
俺の顔の数センチ先で愛実の顔が茹でダコになった。
真っ赤な顔で俺の上から素早く降りた愛実は、ぎこちない動きで俺の隣に座った。
相変わらず忙しい奴だな……。
いつも愛実の顔は忙しい。
泣いたり笑ったり、怒って膨れたり。
俺はクスッと笑った。
「なによ~」
「いや、別に」
俺達の数センチの距離に、優しい風が吹き込んだ。