Love Birthday‥~約束~


俺はバスに乗り、昼休みを目がけて親父の職場に顔を出した。


親父は突然現れた俺に凄く驚いたけど、

歩けるようになった俺の姿に、心の底から喜んでくれた。


そんな親父の顔を見た俺も、心の底から嬉しかった。




親父の職場を後にした俺は、ちょっと寄り道をしてから愛実のマンションに向かった。


愛実の部屋に入ると、バニラのような甘い香りが俺を穏やかな気持ちにしてくれた。


整理整頓された綺麗でかわいい部屋。

兎のぬいぐるみの写真立てで高校時代のクラス写真を飾ってあり、なんだか愛実らしいなって思えた。




俺は薄暗くなった部屋の電気をつけて愛実が帰ってくるのを待った。


待っている間、静かな部屋でいろんなことを考えた。


高校時代のこと。

大学時代のこと。

病院のこと。

中嶋先生のこと。

友達のこと。



たくさんの人の力を借りて

たくさんの人を傷つけて


俺はここにいるんだ。




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