Love Birthday‥~約束~
しばらくして緒方科長が来た。
三人になったスタッフルームで、緒方科長は私に目を向けた後、吉田君と挨拶を交わし更衣室に案内した。
緒方科長は私の恋人。
金曜日の夜だけ私の恋人になる人なんだ……。
私が理学療法士になり就職して2年が経つ頃、一つの失敗をしたことで看護部長に目をつけられるようになった。
何かと文句を言われ、その度に落ち込んで一人になったスタッフルームで泣いていた。
――あの日もそうだった。
朝一に看護部長に呼び出され参っていた私は、一日中泣くのを堪えていた。
帰りが最後になった私は、電気を消して帰ろうとすると、パチンというスイッチを切る音で涙が溢れだした。
堪えていた涙にスイッチが入り、涙を止めることが出来なかった。
もうこの病院をやめようとまで思っていた。
そこに忘れ物を取りに戻った緒方科長が優しく声をかけてくれた。
「もっと自分に自信を持て!」って。
いつも優しい緒方科長に私は普段から好意をもっていた。
その日の夜、二人でお酒を飲んで一日の辛かった思いを解消した。
そして、気がついたら二人でベッドの中にいた――。
あの時、緒方科長の薬指の指輪がとても輝いて見えたのを
今でも同じ感覚で覚えている。