Love Birthday‥~約束~
「すみません、機材を片付けてたら先生方が入ってきて……」
申し訳なさそうに口を開いた彼の瞳は、真っ直ぐに私を見ていた。
私の頭の中は真っ白で、ただ彼に知られた事実を彼の頭の中から消し去りたいと思った。
「聞いてた?」
私は恐る恐る彼の目を見て聞いた。
同じ部屋の中にいたんだもの。聞いていたに決まっている。
だけど、言葉が見つからなかった。
「はい」
彼の返事が、私の胸の中にドシリと落ちた。
「驚いたでしょ。私と緒方科長が不倫してるなんて。
軽蔑したって構わないよ」
私は何を言っているの?
何が言いたいの?
軽蔑なんてしてほしくない。
彼に嫌われたくなくて、ずっと隠していたいと思っていたじゃない。
可笑しくもないのに、私は笑って彼に話をしていた。