Love Birthday‥~約束~
笑っていたはずの私の瞳から、涙が零れていた。
どうしちゃったんだろう……。
苦しい時や悲しい時、上手く笑って見せることが得意だったはずなのに。
一人で頑張っていた頃は、どんな時でも泣くことを我慢出来たのに……。
またオドオドし始めた彼が、ティッシュの束を私の頬に押し当てた。
「大……丈夫?」
そんな優しい声で顔を覗き込まないで。
あなたのせいで、私の涙腺が壊れちゃったよ……。
私は彼の胸にそっと額をつけた。
「大丈夫……。大丈夫だよ。
だけど、少しだけこのままでいてもいいかな?
今だけ……」
何も言わない彼の鼓動が私の鼓膜を揺らした。
速くなった彼の鼓動が、よけいに私の胸を締め付ける。
それでも、私は彼の温もりを感じていたかった。
この温もりを忘れないように。
忘れませんように……。
心の中で何度も呪文を唱えた。
彼への想いを勇気に変えて、私は緒方科長と別れる決意をした。