Love Birthday‥~約束~



「参ったな……」



緒方科長は私の上で溜息をついた後、ゆっくりとベッドに腰を下ろした。


私ははだけた胸元に手を置きながら体を起こした。


今までの緊迫した空気が、ゆっくりとどこかへ消えていく。




「緒方科長……?」


長い沈黙の後、両手で顔を覆い背中を丸めている緒方科長に後ろから声をかけた。




「まさかあんなガキにおまえを奪われるなんてな……」



悲しそうに呟く緒方科長の声には、なぜか嬉しさのような笑みが含まれていた。


ゆっくりと振り向いた緒方科長の眼差しは、怖いものではなかった。







< 69 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop