Love Birthday‥~約束~
「病院を出た時、吉田が俺を追いかけて来て言ったんだ。
『一番大切な人は誰ですか――?』って……」
緒方科長の言葉で、私の胸の奥がキュンとなった。
私の知らない所で、私のために彼が言ってくれた
とても優しくて、とても温かい言葉。
「俺の頭に浮かんできたのは、『おかえり』って俺を迎えてくれる嫁さんだった」
緒方科長が本当に愛しているのは奥さん。
あんなに求めていた緒方科長の口から聞いているのに、私の胸は痛むどころか喜びを感じた。
「それに気づかされてショックだった。
あんなガキに全てを見透かされたような気がして……。
それでこんな荒いことしちまって、ごめん……。」
頭を深く下げた緒方科長に頷いた。
だけど、緒方科長は何度も頭を下げ続けた。
「きっと科長まで登りつめた大人のプライドがそうさせたんだと思う。
本当にすまない。申し訳ない!!」
「私も気づかされた時どうしようもない気持ちになったから……緒方科長の気持ちもわかるから……」
私が緒方科長の肩を押し上げてやっと顔を上げた緒方科長に微笑みかけると、緒方科長が優しい眼差しで微笑んだ。
私が好きだった微笑み。