Love Birthday‥~約束~
微笑み合いながら、緒方科長が私の頬を袖で拭い、乱れたシャツを直しながら言った。
「帰ろうか」
「うん」
私達は別々の道を歩きはじめた。
違う場所を求めて。
もう二度と同じ道を二人で歩くことはないと思う。
誰が大切で、誰を想うかを知ってしまったから。
一番好きな人を見つけることは大変。
だって、好きな人なんて生きていたらたくさん現れる。
だけど、愛しいと思える人はほんの少ししか現れない気がする。
それを頼りに恋を見つけて、愛を見つける。
愛を見つけて、大切な人を見つける。
けど順序なんてわからない。
それぞれの見つけ方があるんだから。
私はまだわからない。
大人だけどわからない。
だから恋がしたい。
彼を知りたい。
いいよね?
彼の中には『彼女』がいるけど
彼を想い続けてもいいよね……?
本当の愛を知りたいから。