Love Birthday‥~約束~
動かない足を振り上げようとすると、目の前が霧がかかったように白くなり始めた。
光を求めてもう一度空を見上げると、
さっきまではなかった大きな雲が頭上に浮かんでいた。
茜色の空の中に浮かぶ雲――。
母……さん?
俺の目には、その雲が母さんの顔のように見えた。
はっきりと見えない目を擦り、細めた視界に映ったのは
母さんの微笑み。
おい、これってまずくないか……?
母さんには会いたいけど、まだそっちにはいきたくないよ。
焦りだした俺の視界は、どんどん白くなっていく。
ちょっと待ってくれよ。
俺、まだまだやりたいことがたくさんあるんだ。
それに、今俺がいなくなったら、きっとあいつを泣かせてしまう。
だから今はいけないよ。
俺はあいつの冷たくなった手を温めてやらないと。
冷えきった体を抱き締めてやらないと。
俺は、もうあいつの涙を見たくないんだ――。