Love Birthday‥~約束~



息を荒くする俺に、緒方科長が酸素マスクをを付け直した。



「吉田、これから霧島先生がおまえの体の説明をする。
だから、無理に動こうとするな」



緒方科長の冷静な言葉は、俺を落ち着かせるためのものなのに、

俺には深刻な告知を予告するものに聞こえた。



高ぶる鼓動を感じながら、俺ははっきりと動く手に力を入れ握り締めた。


どうして……

どうして……



言葉に出来ないほどの不安と恐怖に襲われる。



ドアの前に立っている親父の姿が視界に入り、親父の顔に目を向けた。


親父は、すごく悔しそうに唇を噛みしめ真っ直ぐに俺を見ていた。



その顔を見て、俺は震えるほど力を入れていた手から力をぬいた。








< 93 / 262 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop