Love Birthday‥~約束~
霧島先生が現れるまでの数分、地獄のような時間だった。
自分の体のことを知りたい。
だけど、知ることが怖い。
もうろうとする中、俺は授業で習った『脊髄損傷』を思い出していた。
『脊髄損傷』とは、
背骨の中にある神経が傷つき、その神経が通っている範囲の体の感覚や運動が奪われる。
現在の医学では、その神経を再生することはできない。
だから、失ったものは元には戻らない……。
望みはリハビリのみ。
たぶん俺は……
きっと俺は……
そのことを認めたくなくて、唇を噛みしめた。
実習初日に挨拶を交わしたきりだった霧島先生が目の前に現れると、「調子はどう?」って俺を見て言った。
良いわけないだろ……
そんな言葉を言ってやりたいけど、今の俺にはそんな余裕はなく黙って霧島先生の顔を見ていた。
そして、真剣な眼差しになった霧島先生は、俺の頭に浮かんでいた言葉を口にした。
「吉田君、君はリハビリの勉強をしているからある程度知識があると思うが、
君は階段から落ちた時、脊髄を損傷した」