Love Birthday‥~約束~




目の前が真っ暗になった。


教科書に書いてあったことが、自分の身に起こるなんて……。




何も言えず、何も考えられず、

その後、霧島先生が口にしている言葉はほとんど頭に入ってこない。


それでも、霧島先生は俺から目を逸らさずに話し続けた。




「君は、助けた赤ん坊を抱え込んだ状態で落下した。
その時の衝撃で脊髄を圧迫し、損傷したんだ。

幸いなことに、すぐに手術ができた。
それに、神経は完全に損傷したわけじゃなかった。
だから、今後の検査とリハビリ次第で元のような生活ができるようになる可能性がある」






幸いなこと……?


なにが幸いだよ。

幸いだったら、こんな所にいないだろ。




「もとの体には戻らないんですよね?」



いろんな感情を押し殺して聞いた質問の答えは



「戻りません」




一言だった。







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