ビタービターチョコレート
相手は私。

はっきりいって最初から先生のことが好きな私と、最愛の奥様がいる先生との間でこの研究は、成り立たないと思うんだけど。
でも、先生は大まじめだ。

「しかし暑いね。もうすっかり夏だよ」

「そうですね」
 
うわべは先生と会話しながら、心の中ではため息ばっかり。

先生と話をするのは楽しい。
ためになることも多い。

きっと、ここに私の感情が絡んでなければ、心から楽しめるんだと思う。

……けれど。

どんなに思ったところで先生は、永遠に思いが届かない人、なのだ。
 

食事が終わると、街をぶらぶらする。
はっきりいって、ほとんどデートだ。

先生はネクタイを選びながら、
「どっちがいい?」
とか聞いてきた。
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