私は眠りにつく、また今日も君のことを想って
❀❀❀
ピーーーンポーーーン

「はいはーい。今開けるねぇ。」

いつものホワホワした先生の声が聞こえる。

ガチャ

「おかえりー…え?!咲坂さん!!」

「こんにちは野田先生。来ちゃいました。」

ただでさえ大きい目をまん丸にして驚いている。

「今日オレ彼女とのんびりしたいの。でも兄貴いるとのんびりできないの。ってことで志乃ちゃんと出かけてきて。」

「…すいませんお兄さん。」

え、ちょっと待って。出かけるなんて一言も聞いてないよ?!萩ちゃんに目で訴えてもニヤニヤしてるばかり。

「あーそっかぁ。すっかり忘れてたよ。じゃちょっと待っててね咲坂さん。あ、上がって上がって。」

そんなすんなりと?!まってドキドキしすぎて吐きそ。

「俺らに感謝しろよな志乃ちゃん。」

「デート楽しんでね志乃ちん。」

このバカップルはお節介なの忘れてたよ。にしても、先生の家大きくて綺麗だなぁ。

「さ、お待たせ咲坂さん!じゃどっか行こっか?」

2階から降りてきた先生を見て思わず倒れそうになった。いつもはスーツだから私服なんて見たことなかったけどかっこよすぎる。

「和成、留守番よろしくねぇ。萩ちゃんもゆっくりしてってね。」

ズキっ
萩ちゃんのことは名前呼びなんだ。まぁ萩ちゃんは弟の彼女、私は生徒だから扱い違うの分かってるけどちょっとモヤモヤする。

「咲坂さんどこ行きたい?あ、でも塾の近くだと見られたらまずいもんね。江ノ水でも行く?」

「え、今からですか?」

「ん?そうだよ。車で行けば早いでしょ?」

「先生って免許持ってるんですね。」

「ん、一応ね。(笑)」

ふわっと微笑むいつもの笑顔が、私服のせいかもっとかっこよく見えた。

「(今日一日もつかな…。)」
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