旦那様は妖怪様
「わ…私は…」

震える声で返事をする私を心配するように彼は目を細める。

「旦那様に一生を捧げる準備は出来ております。よろしくお願いいたします。」

素足で地面に座り頭を下げる。
と、また顎を持ち上げられリップ音と共にふわっと額に暖かい感触を覚えた。

「よろしく、僕のお嫁さん」

どこか安心したような声でわたしの旦那様となるはずの彼は私の髪をわしゃわしゃと撫でた。

「はっ…はい!!」

いきなりの出来事にびっくりしつつも、私はこの満月の夜を忘れることは無いだろう、と思い、彼の額に口付けをした。
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