私と君の4日間。~伝説がもたらした奇跡~
しばらく沈黙して並んで歩いていると、春優君が口を開いた。
「…未春、今日はさんきゅーな。」
「ううん!私なんてただ隣にいただけで、何にも出来なかったもん。春優君が頑張ったからだよっ!」
私が言った後に春優君が立ち止まった。一歩進んだ私は振り返ると、斜め後ろの春優君を見る。
「いや、お前が居たからちゃんと言えたんだ。だから、さんきゅ。」
私を見る春優君の優しい笑顔が私の鼓動を速める。私は少し赤くなった頬を誤魔化すように下を向いて頷いた。
「ううん。夢みたいにならなくて本当によかった…。」
再び少し登坂の道を歩いてしばらくすると、速まった鼓動も徐々に落ち着きを取り戻す。
ふと思い出した春優君のお母さんの言葉。
『春優を寂しさから救ってあげて欲しいの。それから春優に、自分を責めないで前を向いて生きて欲しい、私は幸せだったと伝えて…。』
そうだ、春優君のお母さんが言ってた言葉を春優君に伝えなきゃ…!