私と君の4日間。~伝説がもたらした奇跡~

しばらく経っても事が起こる気配がない。


「春優君、大丈夫かなぁ…。」


春優君と別れてから、かれこれ一時間くらいは経ってる。もしかして今日じゃなかったりして…。


その時、家の中で大きな声がした。
誰かが言い争ってて、怒鳴り声も聞こえる。
きっとこの後、春優君が飛び出して来る。


玄関から出て来た春優君を私はすぐに追い掛けた。全速力で走って春優君の背中を追う。


夢と同じ結果だけは絶対にだめ。
春優君を、好きな人を、死なせたくない。


交差点に着くと信号は歩道が赤信号。春優君も歩道手前で立ち止まった。上がった息を整えるために立ち止まる。私は一回息を吸って叫んだ。


「春優君っ…!!」


けれど、私の声は春優君まで届いていない。
右側の道路を見ると、トラックが小さく見えていた。


私は再び春優君の所まで走り出した。トラックは思っているより早い。 あと少しの所まで行くと春優君は一歩足を踏み出してしまった。

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